2015年(平成27年)


無常を拒否する人々―徒然草から―
語学文学54号2015年12月1日p3-12.
 方丈記や平家物語、徒然草等、世の無常を強く主張する中世文学作品は多いが、実は中世の多くの人々はそんなに強く無常を意識していたわけではない。というより、無常の認識に乏しい人が多かったからこそ長明や兼好は無常を主張したのである。そうした実態を垣間見るために、徒然草から無常を拒否する人々、無常の認識に乏しい人々、逆に強く無常を認識する人々を抜き出し、最後に兼好自身の無常観の程度を探った。兼好は多くの人々の中では若干強く無常を認識する人ではあったが、しばしば常住を願う心情を吐露することもあった。