2006年(平成18年)


日本文学概論への道―現状の分析から―
語学文学44号2006年3月1日p21-30.
 名称は様々あるが日本文学概論とか国文学概論とか、要するに日本文学の全体像を大まかに論じる、という性格の授業がどうあるべきか、著者がこれまで行って来た実践例と、インターネットによって調査した他大学におけるシラバスから見る実態を分析することによって探ったもの。

方丈記覚書一 地震と家と方丈記
れぎおん53号2006年4月1日p2-7.
 二〇〇五年末マンションの耐震偽装問題が発覚、マスコミを賑わせた。それを契機に日本人にとって家とは何かを文学作品に探ろうとする時、真っ先に思い浮かぶのは方丈記である。方丈記はまさに家について書いた評論、或いは手記であるということを、方丈記の粗筋を追いながら確認したもの。

方丈記覚書二 随筆問題
れぎおん54号2006年8月1日p2-7.
 方丈記を随筆と呼ぶことの問題を、容斎随筆・枕草子・徒然草との比較から論じた。そうした随筆の典型と目される作品群と比較すると、方丈記を随筆と呼ぶことには問題がある。

方丈記覚書三 「記」という文体
れぎおん55号2006年10月1日p2-7.
方丈記の先蹤として既に指摘されている四つの作品、白楽天の「草堂記」「地上篇并序」、兼明親王と慶滋保胤の「池亭記」についてそれぞれの書誌や内容を紹介し方丈記との類似箇所を指摘し、そうした先蹤がある以上方丈記の属するジャンルは「記」である、と考えるのが長明の意識に沿っているが、現在「記」というジャンルはないので、比較的それに近い随筆に入れているのだと指摘した。