1987年(昭和62年)


草庵集注『ひとり言』について
語学文学25号1987年2月28日p9〜17
 従来『草庵集蒙求諺解』の一写本と考えられていた内閣文庫蔵『ひとり言』が、実は諺解を批判した注釈書であることを明らかにし、先行する諺解・難註、そして同じ頃成立の玉箒と比較して、その注釈態度が穏当であること、また中では本居宣長の玉箒に最も近い読みを示していることを指摘し、作者は宣長に近い人物ではないかと示唆した。

シンポジウム−研究と実践−『徒然草』をめぐって
国文学言語と文芸(大塚)101号1987年6月30日p5〜47(担当:14〜21頁)
 『徒然草』研究の現状と教育現場での扱いの関わりをめぐって行なわれたシンポジウムを活字化したもの。司会斎藤義光、報告者福田秀一・杉浦・間野典彦・川口久美子。4人の報告と会場との質疑応答から成り、杉浦は「『徒然草』における「心」と「形」」と題する報告(p14〜21)を行ない、それをめぐるいくつかの質問に答えた。(福田秀一・杉浦清志・間野典彦等)

兼好と和歌−出家以前−
北海道教育大学紀要第1部A人文科学編38巻1号1987年10月1日p1〜16
 徒然草に比して兼好の和歌の評価は低いが、兼好自身にとっては必ずしもそうではなかったと考えられる。そこで兼好にとっての和歌の意味を探るために、ここでは出家以前と考えられる作品を検討した。その結果、この頃の和歌はかなり趣向が凝らされたもので、この頃の兼好が和歌によって自らを伝統の体現者とすべく努力していたことが窺えた。